
二重価格表示とは、販売価格に別の価格を並べて示す表示のことだ。
英会話スクールの案内でも、通常価格を線で消して今の価格を大きく出す形はよく見かける。
この見せ方そのものは禁じられていないが、並べる価格の中身によっては問題になる。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、消費者庁の表示規制の説明とガイドラインの一覧を読み、申し込む前に何を確かめればよいのかを整理する。
二重価格表示で見るのは、割引の幅ではなく、並べてある側の価格の中身である。
先に結論を示し、そのあとで根拠・確かめ方・記録の順に進める。
この記事の内容は2026-10-09時点の公表資料にもとづく。
個別の料金は各社の公式サイトと契約書面でご確認ください。
【結論】二重価格表示は比較対照価格の中身で決まる
見るのは割引率ではない
消費者庁は、景品表示法が消費者に誤認される不当な表示を禁止していると説明している。
価格その他の取引条件についての不当表示は、有利誤認表示として整理されている。
有利誤認表示には、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示が含まれる。
並べてある価格が実態を伴わなければ、割引の幅そのものが意味を失う。
| 見るところ | 確かめる中身 |
|---|---|
| 並んでいる価格 | どの価格と比べているのか |
| その価格の根拠 | 実際に販売されていた価格かどうか |
| 期間の書き方 | いつからいつまでの価格か |
| 条件の書き方 | 誰でもその価格になるのか |
ここから先は、この4点を案内ページのどこで見るのかを順番に追う。
二重価格表示の根拠になる景品表示法
景品表示法の正式な名前は、不当景品類及び不当表示防止法という。
消費者庁は、不当な表示を優良誤認表示と有利誤認表示、そして内閣総理大臣が指定する表示の3つに分けて説明している。
- 優良誤認表示=品質や内容を実際より著しく優良に見せる表示
- 有利誤認表示=価格その他の取引条件を著しく有利に見せる表示
- 指定告示=おとり広告など、個別に指定された表示
価格の話は、この2番目の有利誤認表示に当たる。
消費者庁は、価格表示についての考え方をガイドラインとして公表している。
ガイドラインの一覧には、不当な価格表示についての景品表示法上の考え方が置かれている。
将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針も、同じ一覧に並んでいる。
どちらも、並べる価格に実態があるかどうかを扱ったものだ。
表示そのものの信頼度を見る話はNo.1表示とはにまとめている。↓

英会話スクールで二重価格表示が出てくる場面
語学サービスの料金ページでは、価格を並べる形がいくつかある。
- 通常価格と期間限定価格を並べる
- 月額の定価と年払いにしたときの実質月額を並べる
- 入会金の正規額と無料キャンペーンを並べる
- 他社の相場を示して自社の価格を並べる
このうち、他社との比較は自社の過去価格とは別の話になる。
比べている相手が自社の過去なのか他社なのかで、確かめる場所が変わる。
| 表示の形 | 確かめる先 |
|---|---|
| 自社の通常価格と比べる | その価格で実際に売っていた期間 |
| 他社と比べる | 比較の対象と調査の時点 |
| 実質月額を示す | 総額と支払回数の内訳 |
| 無料をうたう | 無料になる条件と対象コース |
消費者庁は、競争業者に係るものよりも著しく有利と誤認させる表示も有利誤認に含めている。
他社比較の表示も、同じ枠の中で扱われることになる。
二重価格表示を確かめる手順
案内ページを開いたら、価格そのものより先に注記を読む。
- 比較対照価格が何の価格かを探す
- その価格が適用されていた期間の記載を探す
- キャンペーンの終了日が書かれているかを見る
- 条件(新規のみ、特定コースのみ)を探す
- 税込か税抜かを確かめる
注記が小さい文字で画面の下にまとめられていることは多い。
注記に期間と条件が書かれていなければ、確かめようがない表示になる。
その場合は、問い合わせの段階で期間と条件を聞いておく。
口頭の回答もメモに残す
聞いた内容は、日付と担当者名をそえて書き留めておきたい。
税込かどうかの見方は総額表示の読み方にまとめている。↓

二重価格表示が疑わしいときの記録の残し方
表示は、キャンペーンが終わると書き換えられてしまう。
あとから説明するつもりなら、見た時点の画面を残すしかない。
- ページ全体のスクリーンショットを撮る
- 撮った日時が分かる形で保存する
- ページのURLを一緒に控える
- 注記の部分も省かずに写す
注記だけを切り取らずに、価格と同じ画面に収めて残す。
紙の資料をもらった場合は、その現物も一緒に保管しておく。
消費者庁は、景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口を設けている。
国民生活センターと各地の消費生活センターも、相談の入口になる。
二重価格表示に違反があったときの扱い
不当表示に当たると判断された場合の手当ても、法律に書かれている。
消費者庁は、措置命令や課徴金納付命令といった仕組みを説明している。
優良誤認表示については、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求める不実証広告規制も置かれている。
資料が出てこなければ、措置命令との関係では不当表示とみなされる。
| 仕組み | 中身 |
|---|---|
| 措置命令 | 表示の差止めや再発防止を命じる行政処分 |
| 課徴金納付命令 | 一定の不当表示に対する金銭的な負担 |
| 不実証広告規制 | 効果・性能の根拠資料の提出を求める仕組み |
個別の返金とは別の話
行政処分は事業者への措置であって、自分の契約が自動で戻るわけではない。
返金の話は、契約のルールの側で別に進める必要がある。
二重価格表示と分割払い・おとり広告の違い
価格の表示には、二重価格表示のほかにも運用基準が置かれている分野がある。
消費者庁のガイドライン一覧には、不当な割賦販売価格等の表示に関する運用基準が並んでいる。
この運用基準は、景品表示法第5条第2号の適用についての考え方を示したものだ。
分割払いの金額だけを大きく見せる表示も、価格表示として扱われる。
英会話スクールの料金ページでも、月々の負担額を前面に出す形はよくある。
- 支払回数が書かれているか
- 手数料を含む総額が書かれているか
- 一括払いにしたときの金額と並べてあるか
同じ一覧には、おとり広告に関する表示等の運用基準も置かれている。
申し込める枠がほとんど無い価格を前面に出す表示は、この枠で見ることになる。
枠の数と期間を見る
「限定◯名」と書かれている場合は、その人数と締切を控えておきたい。
二重価格表示を比べる前にそろえる消費税の扱い
価格表示を比べるときに、もう1つそろえるべきものが税の扱いだ。
消費者庁のガイドライン一覧には、消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示についての文書も置かれている。
価格表示の話は、景品表示法だけでなく税の表示とも地続きになっている。
税込と税抜が混ざった状態では、割引の幅を比べても意味がない。
| 並べる前にそろえるもの | 確かめ方 |
|---|---|
| 税の扱い | 税込か税抜かの注記を読む |
| 支払いの単位 | 月額か総額かを見る |
| 含まれる費目 | 入会金・教材費が入っているか |
3つをそろえてから並べると、見かけの割引率は大きく変わることがある。
ここまでそろえた金額が、実際に自分が払う額になる。
二重価格表示に関するよくある質問
Q. 価格を2つ並べること自体がだめなのですか
- A. 並べること自体ではなく、著しく有利と誤認させるかどうかが景品表示法上の論点になる。
Q. 他社の価格と比べる表示はどう見ますか
- A. 消費者庁は、競争業者に係るものより著しく有利と誤認される表示も有利誤認表示に含めている。
Q. 将来の値上げを前提にした割引はどうですか
- A. 将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示については、消費者庁が執行方針を公表している。
Q. 期間が書かれていない場合はどうしますか
- A. 期間と条件が読み取れないときは、問い合わせて記録に残すのが確実である。
Q. どこに相談すればよいですか
- A. 消費者庁が景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口を設けており、各地の消費生活センターも相談先になる。
まとめ|二重価格表示は注記まで読んで判断する
割引の表示を見たときに確かめる場所は、4つにまとまる。
- 何と比べた価格なのか
- その価格が適用されていた期間はいつか
- 誰がその価格になるのかという条件
- 税込か税抜か
この4つが書かれていれば、割引の意味は自分で計算できる。
書かれていなければ聞く
聞いても出てこない数字を前提に申し込むと、比較そのものが成立しない。
表示は判断材料であって、根拠そのものではない。
二重価格表示より先に見る自分の総額
割引の幅を見る前に、自分が払う総額を出しておくほうが早い。
入会金、受講料、教材費、関連商品を足した金額が、比べる単位になる。
割引後の金額ではなく、支払う合計で比べる。
同じ割引率でも、総額が違えば負担はまったく変わる。
期間の長さをそろえてから並べると、見え方が落ち着く。
総額の出し方は英会話スクールの料金の見方にまとめている。↓

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参考文献
- 表示規制の概要(消費者庁)
- 景品表示法に関するガイドライン等(消費者庁)
- 不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 国民生活センター(独立行政法人国民生活センター)
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