
不実告知とは、契約の勧誘のときに事実と違うことを告げられることをいう。
英会話スクールの説明会で聞いた話が、入ってみたら違っていたという相談は珍しくない。
このとき問題になるのは、気分ではなく「何を事実として告げられたか」である。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、消費者庁の特定商取引法ガイドと消費者契約法のページを読み、取消しを申し出るまでの順番を整理する。
不実告知は、言われた言葉を特定できたときに初めて武器になる。
先に結論を示し、そのあとで対象・記録・申し出・断られたときの順に進める。
この記事の内容は2026-10-09時点の公表資料にもとづく。
個別の契約の扱いは各社の概要書面・契約書面と公式サイトでご確認ください。
【結論】不実告知があれば契約の意思表示を取り消せる
取り消せるのは誤認したとき
特定商取引法ガイドは、特定継続的役務提供について、勧誘の際に事実と違うことを告げる行為を禁止行為として挙げている。
さらに、事実と違うことを告げられ、その内容が事実であると誤認して申し込んだ場合には、意思表示を取り消すことができると書いている。
語学教室はこの特定継続的役務の指定役務に含まれる。
消費者庁は消費者契約法についても、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効を定めた法律だと説明している。
入口が2つある分、どちらで主張するかを決める必要がある。
| 確かめること | 中身 |
|---|---|
| どの法律か | 特定商取引法と消費者契約法の2本立て |
| 対象の行為 | 勧誘の際に事実と違うことを告げること |
| 必要な状態 | 告げられた内容を事実だと誤認したこと |
| できること | 申込み又は承諾の意思表示の取消し |
ここから先は、この表の各行を自分の契約に当てはめていく。
不実告知に当たる言葉と当たらない言葉
取消しの対象になるのは、事実として告げられたことだ。
将来の感想や意気込みのような言葉は、事実の告知とは性質が違う。
- 事実の告知=回数・金額・条件・在籍の有無・制度の有無
- 感想や見込み=きっと伸びる、楽しく続けられる
- 勧誘のときの言葉=申し込む前に聞いた説明
- 解除を妨げる言葉=やめたいと伝えたあとに聞いた説明
特定商取引法ガイドは、解除を妨げるために事実と違うことを告げる行為も禁止行為に挙げている。
入る前の説明だけでなく、やめるときの説明も対象に入る。
ガイドはあわせて、勧誘の際に故意に事実を告げないこと、威迫して困惑させることも禁止している。
告げられなかった場合は不告知、威圧された場合は困惑として、別の枠で扱われる。
自分の場合がどれに当たるかで、主張の立て方が変わってくる。
契約書の条項そのものの読み方は利用規約の読み方と確認手順にまとめている。↓

不実告知を主張する前に集める記録
取消しを申し出るときに効くのは、言われた言葉を特定できる材料である。
記憶だけで進めると、言った言わないの話で止まってしまう。
- 説明会や体験レッスンの日付と担当者名
- 受け取ったパンフレット・見積書・申込書の現物
- やり取りしたメールやチャットの画面
- 概要書面と契約書面の該当ページ
- 自分が何を事実だと思って申し込んだかのメモ
特定商取引法ガイドは、概要書面と契約書面に書くべき事項を細かく定めている。
| 突き合わせるもの | 見るところ |
|---|---|
| 口頭の説明 | いつ・誰が・どう言ったか |
| 概要書面 | 役務の内容と対価の概算額 |
| 契約書面 | 対価の額・提供期間・中途解約に関する事項 |
| 広告やLP | 申し込む前に見た表示 |
書面に書かれていない約束ほど、記録が物を言う。
書面の記載と口頭の説明が食い違っていれば、その差がそのまま材料になる。
不実告知による取消しを申し出る手順
申し出そのものは、特別な様式を必要としない。
ただし、後から確認できる形で出しておくほうが扱いやすい。
- 何年何月何日の説明で、誰が、何と言ったかを書く
- その内容が事実と違っていたことを書く
- それを事実だと思って申し込んだことを書く
- 契約を取り消す意思をはっきり書く
- 送った日付と控えを残す
送り方は、発信の記録が残る方法を選んでおきたい。
メールで出す場合は、送信したメールをそのまま保存しておく。
クレジット契約を組んでいる場合は、販売会社とクレジット会社の両方に状況を伝える。
先に相談してから出す
どの枠で主張するかが決めきれないときは、消費生活センターに相談してから出すほうが早い。
相談の入口は消費者ホットライン188の使い方にまとめている。↓

不実告知とクーリングオフはどちらを先に使うか
書面を受け取ってから日が浅いなら、期間内の解除のほうが手続きは単純だ。
特定商取引法ガイドは、法定書面を受け取った日から数えて8日以内の解除を認めている。
この期間内であれば、理由を説明する必要がない。
| 状況 | 先に検討する手 |
|---|---|
| 書面を受け取って8日以内 | 期間内の無条件解除 |
| 8日を過ぎたが妨害があった | 妨害を理由にした期間経過後の解除 |
| 8日を過ぎていて妨害もない | 不実告知による取消し |
| 説明と中身は合っている | 将来に向けた中途解約 |
期間内なら、理由を立証する手間をかけずに済む。
ガイドは、事実と違うことを告げられて解除しなかった場合には、期間を過ぎても解除できるとしている。
不実告知は、この妨害の話とも隣り合っている。
どちらの枠で通すかは、告げられた言葉が入口の話か出口の話かで変わる。
不実告知を認めてもらえなかったときの次の手
事業者が取消しを認めないこともある。
その場合でも、話し合いの場を外部に移す道が用意されている。
消費者庁は、消費者契約法の改正で消費者団体訴訟制度が導入されたことを説明している。
- 最寄りの消費生活センターへあっせんを依頼する
- 国民生活センターの紛争解決委員会へ申請する
- 同じ勧誘が繰り返されているなら適格消費者団体へ情報を伝える
個別の返金と、同じ勧誘を止める話は別のルートになる。
前者は自分の契約の精算、後者は不特定多数に向けた差止めの話だ。
目的を分けて動く
両方を1回の連絡でまとめようとすると、どちらも進みにくくなる。
まず自分の契約をどうするかを決めてから、情報提供は別に出すほうが整理しやすい。
不実告知を防ぐために契約前にできること
取消しは後ろ向きの手続きなので、使わずに済むのがいちばんよい。
説明会の場でできることは、聞いた話を書面に落としてもらうことに尽きる。
- 口頭で聞いた条件を、その場でメモにして確認してもらう
- キャンペーンの期限と条件を書面で受け取る
- 途中でやめたときの精算を、金額の形で聞いておく
- 担当者の名前と所属を控えておく
概要書面は契約の締結前に渡すものだとガイドに書かれている。
その場で渡されない場合は、受け取ってから決めると伝えてよい。
持ち帰って読む時間を取ることが、そのまま確認の時間になる。
料金の総額を見る手順は英会話スクールの料金の見方にまとめている。↓

不実告知に関するよくある質問
Q. 口頭の説明だけでも不実告知になりますか
- A. 特定商取引法ガイドは、勧誘の際に事実と違うことを告げる行為を禁止行為として挙げている。
Q. やめたいと言ったあとの説明も対象ですか
- A. ガイドは、契約の解除を妨げるために事実と違うことを告げる行為も禁止している。
Q. 何も言われなかった場合はどうなりますか
- A. 故意に事実を告げないことも、ガイドの禁止行為に別に挙げられている。
Q. 消費者契約法と特定商取引法のどちらで主張しますか
- A. 消費者庁は消費者契約法を不当な勧誘による取消しを定めた法律と説明しており、契約の種類によって使う枠が変わる。
Q. 自分で判断できないときはどうしますか
- A. 国民生活センターと全国の消費生活センターが相談の窓口になっている。
まとめ|不実告知は言葉を特定するところから
不実告知で契約を取り消すときに必要なのは、次の4つだ。
- いつ・誰が・何と告げたかを書き出せること
- それが事実と違うと言える材料があること
- それを事実だと思って申し込んだと説明できること
- 取り消す意思を、記録の残る形で伝えること
この4つがそろうかどうかで、話の進み方が変わる。
期間が残るなら期間で片づける
書面を受け取って8日以内なら、理由を立証せずに解除できる枠が先にある。
順番を間違えなければ、使う力は少なくて済む。
不実告知を見たときに情報を届ける先
同じ説明が自分以外にも繰り返されているなら、情報の届け先がある。
国民生活センターと各地の消費生活センターは、相談を受け付ける窓口になっている。
消費者庁は、消費者団体訴訟制度の対象が景品表示法と特定商取引法にも拡大されたことを説明している。
自分の返金が終わったあとでも、情報提供はできる。
提供する情報は、日付・場所・言われた内容のように、事実だけにまとめておく。
推測や感想を混ぜないほうが、窓口の側でも扱いやすい。
\聞いた話を書面で確かめる前に/
勧誘の言葉に左右されない比べ方
先に基準を決めてから申し込む
参考文献
- 特定継続的役務提供(消費者庁 特定商取引法ガイド)
- 消費者契約法(消費者庁)
- 消費者契約法(法令本文)(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 国民生活センター(独立行政法人国民生活センター)
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