英会話スクールの案内を開くと、講師の紹介欄に国籍が書かれていることが多い。
ネイティブ講師在籍、フィリピン人講師、日本人バイリンガル講師といった並びだ。
その並びを見た瞬間、どの国の講師を選べば英語が伸びるのかという問いが頭に立ち上がる。
この記事では、英語サービスを長く見てきた立場で、英会話の講師の国籍ではなく「母語が何か」と「日本語で説明できるか」の2軸で選ぶ手順を出す。
国籍は書類の一項目であって、レッスンの中身を決めている要素ではない。
中身を決めているのは、その講師が何語で育ち、何を何年教えてきて、どこまで日本語で説明できるかだ。
この記事の内容は2026-09-17時点の一般的な運用にもとづく。講師の採用基準・配分の仕組み・変更の手続きはスクールごとに異なるため、最終的な条件は契約書面と各社の公式サイトでご確認ください。

【この記事を書いた人:高正熊生】オンライン英会話の受講&取材経験は合計50社以上・TOEIC920・英検準一級・VERSANT50・留学(大学/語学/ワーホリ)・外資系/海外勤務経験あり・海外在住歴12年・シャドテンアンバサダー(シャドーイング歴1年以上)X(旧Twitter)・YouTube・note
【結論】英会話の講師の国籍ではなく「母語」と「日本語で説明できるか」で選ぶ
先に結論を書く。
英会話の講師の国籍は選ぶ基準にならず、実際に効くのは母語・指導経験・日本語での説明可否の3つだ。
この3つは国籍と重なることがあるが、一致はしない。
国籍はパスポートの話であり、母語は育った環境の話だ。別のものを同じ棚に置くと判断を誤る。
| よく使われる基準 | 実際に効く基準 | ずれが起きる理由 |
|---|---|---|
| 国籍 | 母語 | 移民・多言語国家では一致しない |
| 国籍 | 指導経験 | 教える訓練は国籍と無関係 |
| 国籍 | 日本語での説明可否 | 日本語力は個人の履歴の話 |
| 見た目の印象 | 発音指導の訓練歴 | 訓練を受けた人だけが直せる |
この表の左を見て選ぶと、右がどうなっているかを確かめないまま契約することになる。
国籍を能力の指標として使うのは、事実としても誤りであり、選ぶ側にとっても損になる。
損になる理由は単純で、国籍で絞った瞬間に、自分に合う講師が候補から消えるからだ。
だから最初に、国籍という欄をいったん脇に置く。
募集要項の「ネイティブ講師」という言葉が指す範囲は一つではない
ネイティブ講師という言葉は、スクールごとに指している範囲が違う。
同じ言葉が使われていても、社内での定義は揃っていない。
- 英語を母語として育った人(育った場所は問わない)
- 特定の国の国籍を持つ人
- 特定の国で一定年数を過ごした人
- 英語圏の大学を出た人
- 採用面接で英語の運用に問題がないと判断された人
この5つは重なる部分もあるが、同じではない。
「ネイティブ講師」と書かれていたら、それが5つのうちどれを指しているのかを聞いてよい。
聞き方は「御社ではネイティブ講師をどういう基準で分類していますか」でいい。
この質問に答えられるスクールは、講師の管理が言語化されている。
答えが曖昧なまま「ネイティブなので大丈夫です」と返ってくる場合、社内にも定義が無い可能性が高い。
定義が無いこと自体は悪ではない。ただし、定義が無いものを判断の材料にはできない。
つまりネイティブという語は、比較のための共通単位として使えない。
英会話の講師の国籍と母語は一致しない
国籍と母語がずれるのは、例外ではなく普通のことだ。
英語が公用語の国で育っても、家庭で別の言語を話していた人がいる。
逆に、英語が公用語ではない国で育っても、家庭と学校が英語だった人がいる。
移住した年齢によっても、どちらが母語かは変わる。
同じ国籍の中に、英語が第一言語の人と第二言語の人が両方いる。
だから国籍の欄を見ても、その人の英語がどう作られたかは分からない。
| 聞いても分からないこと | 代わりに分かること | どこで分かるか |
|---|---|---|
| 国籍 | 家庭で使っていた言語 | 講師プロフィールの経歴欄 |
| 国籍 | 教育を受けた言語 | 学歴の記載 |
| 国籍 | 英語を教えた年数 | 指導歴の記載 |
| 国籍 | 日本語の運用レベル | 体験レッスンでの受け答え |
右の列は、国籍より具体的で、しかも確かめられる。
確かめられない情報で選ぶより、確かめられる情報で選ぶほうが外れにくい。
この記事が2軸に絞るのは、その2つが確かめられるからだ。
英会話の学習の結果を変える3つの軸
講師が学習の結果に効いてくる経路は、大きく3つある。
- 母語(その人の英語がどう作られたか)
- 指導経験(何を何年、どういう相手に教えてきたか)
- 日本語で説明できるか(つまずきを日本語で言語化できるか)
この3つは独立していて、どれか1つが高いから他も高いということはない。
英語が母語で、指導経験が20年で、日本語も堪能という人は実在するが、多くはない。だから配分で考える。
| 軸 | 高いと何ができるか | 低いと何が起きるか |
|---|---|---|
| 母語 | 自然かどうかを瞬時に判定できる | 不自然な言い回しが通ってしまう |
| 指導経験 | つまずきの順番を予測して先回りできる | 会話しただけで終わる |
| 日本語での説明 | 原因を日本語で特定して手当てできる | なぜ直らないか本人に分からない |
この3つを一人の講師で全部そろえようとするから、講師選びが難しくなる。
そろわない前提に立てば、やることは配分の設計になる。
配分とは、どの軸を誰から受け取るかを決めることだ。
一人の講師にすべてを求めると、期待が外れたときに講師のせいにして終わってしまう。
設計にしておけば、足りない軸を別の枠で補えばいいと分かる。
英語が母語の講師に向く場面
英語が母語の講師には、他の軸では代えにくい仕事がある。
それは判定だ。
その言い方が自然かどうかを、理由抜きで即座に判定できるのが英語母語の講師の強みだ。
文法的に正しくても、実際には誰も言わない表現がある。
その線引きは、規則からは導けない。
大量に浴びた人の感覚の中にしか無い。
- 書いた文を見て、不自然な箇所に印を付けてもらう
- 3つの言い方を並べて、どれを使うかを選んでもらう
- 同じ内容を、もっと短く言う方法を出してもらう
- 堅い言い方と砕けた言い方の差を体感として教わる
- 発音の細部で、意味が変わってしまう箇所を指摘してもらう
この5つは、いずれも判定の仕事だ。
判定は、答えを出してもらうより「自分の答えを持っていって直してもらう」形のほうが効率がいい。
何も持たずに行くと、雑談で時間が終わる。
英語母語の講師の時間を雑談に使ってしまうのは、いちばんもったいない使い方になる。
だから、判定してほしいものを用意してから枠に入る。
英語が第二言語の講師に向く場面
英語を第二言語として身につけた講師には、母語話者に無い経験がある。
自分も学習者としてつまずいた経験だ。
つまずいた経験がある講師は、学習者が今どこで詰まっているかを自分の記憶から推測できる。
母語話者は、その文法を学ばずに身につけている。
だから「なぜ分からないのか」が分かりにくいことがある。
第二言語として学んだ講師は、同じ道を通ってきている。
| 場面 | 第二言語の講師が持っている材料 |
|---|---|
| 時制の使い分けで混乱している | 自分も同じところで混乱した記憶 |
| 冠詞が入れられない | 母語に冠詞が無い状態から覚えた手順 |
| 長い文が作れない | 短文を接続していった自分の練習法 |
| 聞き取れない | どの段階で聞こえるようになったかの実感 |
| 話す前に固まる | 黙ってしまう時期を抜けた方法 |
この材料は、教科書には書かれていない。
学習者としての経験は、教える訓練とは別物であり、両方持っている講師がいちばん強い。
だからプロフィールでは、その講師自身がどう英語を身につけたかを見る。
書いてある場合は、そこに具体的な手順が書かれていることが多い。
日本語で説明できる講師に向く場面
日本語で説明できる講師の仕事は、レッスンの中ではなく設計にある。
何が原因で詰まっているかを日本語で特定できると、その先の練習の中身が変わる。
原因の特定は、英語でやろうとすると時間がかかる。
そもそも英語で説明できるなら、そこは詰まっていない。
- 何が分からないのかを日本語で言わせて、論点に切り分ける
- 文法用語を使って、規則としていったん固定する
- 母語の発想と英語の発想の違いを対比で見せる
- 学習の順番を決めて、次の1か月の宿題を組む
- 本人が気づいていない癖を、日本語で指摘する
この5つは、日本語のほうが圧倒的に速い。
速いということは、同じ時間でより多くのことを片づけられるということだ。レッスン料は時間に対して払っている。
初級のうちに全部を英語だけでやろうとすると、分からないまま進む時間が積み上がる。
分からないまま進んだ時間は、あとで戻ってやり直すことになる。
だから最初の段階ほど、日本語で説明できる講師の価値が上がる。
最初の3か月は日本語で説明できる講師を厚くする
始めてから3か月は、内容より設計が効く時期だ。
この時期にやることは、英語に触れることではなく、自分の現在地を測ることになる。
最初の3か月は、話す量より「何を練習すべきかが決まっているか」のほうが結果を左右する。
| 時期 | 主な仕事 | 厚くする軸 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 現在地の測定と課題の切り出し | 日本語での説明 |
| 2か月目 | 課題に対する練習の型づくり | 日本語での説明+指導経験 |
| 3か月目 | 型が身についたかの確認 | 指導経験 |
| 4か月目以降 | 実際の運用と自然さの調整 | 母語 |
この順番は、目的が変わっても大きくは変わらない。
測って、型を作って、運用する、という順番だからだ。
最初から英語母語の講師だけで固めると、測る工程が抜け落ちたまま運用に入ってしまう。
測る工程が抜けると、半年たっても同じところで詰まっていることに気づけない。
3か月というのは目安であって、人によって前後する。
重要なのは日数ではなく、課題が言葉で書き出せているかどうかだ。
レベル別|初級・中級・上級で英会話の講師の配分は変わる
配分は固定ではなく、レベルが上がるにつれて移っていく。
初級ほど日本語での説明を厚く、上級ほど母語話者による判定を厚くするのが基本の形だ。
| レベル | 日本語で説明できる講師 | 第二言語の講師 | 英語母語の講師 |
|---|---|---|---|
| 初級(文が作れない) | 多め | 中 | 少なめ |
| 中級(言いたいことは言える) | 中 | 多め | 中 |
| 上級(内容で勝負したい) | 少なめ | 中 | 多め |
この表は比率の話であって、どれかをゼロにするという意味ではない。
初級でも、英語だけの時間はあったほうがいい。
上級でも、日本語で戦略を立てる時間はあったほうがいい。
比率を変えずに同じ配分で1年続けると、伸びが止まった理由が分からなくなる。
3か月に一度、配分を見直す予定を先に入れておくと、惰性で続けることを防げる。
見直しのきっかけは、レッスン後の手応えが変わらなくなったときだ。
同じ指摘を3回続けて受けたら、配分ではなく練習法の問題を疑う。
目的別|会議・面接・旅行・雑談で必要な講師が変わる
レベルと同じくらい、目的でも必要な軸が変わる。
| 目的 | いちばん効く軸 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内会議で発言する | 指導経験 | 型を反復して定着させる仕事になる |
| 英語の面接を受ける | 母語 | 言い回しの印象が結果に直結する |
| 旅行で困らない | 指導経験 | 場面別の定型を数多く回す |
| 雑談を続ける | 母語 | 相づちと話題の転換が感覚の領域になる |
| メールを書く | 母語+日本語での説明 | 不自然さの判定と日本語からの直訳癖の指摘 |
目的が具体的であるほど、必要な軸は絞れて、講師選びは簡単になる。
逆に「とりあえず英語を話せるようになりたい」だと、どの軸も必要に見えてしまう。
だから講師を選ぶ前に、目的を場面の形で書き出す。
- いつ使うのか(今月なのか、来年なのか)
- 誰に対して使うのか(同僚か、取引先か、店員か)
- 何を達成したいのか(伝わればいいのか、説得したいのか)
- 失敗したときに何が起きるのか(気まずいだけか、仕事に響くか)
4つ目の「失敗したときに何が起きるか」で、求める精度が決まってくる。
気まずいだけで済む場面なら、通じることを優先していい。
仕事に響く場面なら、言い回しの選択まで詰める必要が出てくる。
英会話の講師を固定するか回すかの判断
同じ講師を続けるか、毎回変えるかで迷うことがある。
これも国籍ではなく、目的で決まる。
| 固定が向く場面 | 回すのが向く場面 |
|---|---|
| 課題を継続して追ってほしいとき | いろいろな話し方に慣れたいとき |
| 長期の計画を一緒に作りたいとき | 相性を探している段階のとき |
| 同じ癖を何度も指摘してほしいとき | 特定の講師に依存したくないとき |
| 説明の前提を毎回作り直したくないとき | 予約の自由度を優先したいとき |
固定の最大の利点は、前回の続きから始められることだ。
毎回自己紹介から始まると、その時間はそのまま失われる。
一方で、固定には慣れすぎるという副作用がある。
同じ講師とだけ話していると、その人の話し方にだけ最適化された英語になることがある。
固定を軸にしつつ、月に1〜2回だけ別の講師を入れる形にすると、両方の利点が取れる。
別の講師を入れる回は、通じるかどうかの検査として使う。
固定の講師には通じて、初対面の講師には通じないなら、それは発音か語順の問題だ。
訛りをどう扱うか|現実の英語は訛りの集合だという前提
訛りを気にする相談は多い。
前提として、訛りの無い英語というものは存在しない。
世界で交わされている英語の大半は、どこかの訛りを持った話者どうしのやり取りだ。
英語圏の中でも、地域によって発音は大きく違う。
同じ国の中でも、都市によって違う。
だから訛りの有無ではなく、聞き取れるかどうかで考える。
- 自分が相手の英語を聞き取れるか
- 相手が自分の英語を聞き取れるか
- 意味が変わってしまう音を間違えていないか
- 強勢の位置が単語ごとに正しいか
この4つが満たされていれば、実務上の問題は起きにくい。
訛りを消すことを目標にすると、通じる英語を作るという本来の目標から離れてしまう。
むしろ、いろいろな訛りに触れておくほうが、実際の仕事や旅行では役に立つ。
会議の相手が英語圏の出身とは限らないからだ。
その意味で、講師の訛りは弱点ではなく、慣れておくべき材料になる。
発音の指導ができるかは国籍ではなく訓練歴で決まる
発音を直してほしいという希望は多い。
ここで誤解が起きやすい。
うまく発音できることと、他人の発音を直せることは、別の能力だ。
直すには、口の中で何が起きているかを説明できる必要がある。
舌の位置、唇の形、息の出し方を言葉にできるかどうかだ。
これは訓練を受けた人が持っている技術であって、母語であるかどうかとは無関係になる。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 発音指導の訓練歴があるか | 発音の指導方法を学んだ経験はありますか |
| 音声学の知識があるか | 音の作り方を説明しながら直してもらえますか |
| 日本語話者の特徴を知っているか | 日本語を母語とする人が苦手な音を挙げられますか |
| 録音して比べる方法を使うか | 自分の音を録って比べる練習はできますか |
「もっとはっきり言って」としか言われない指導では、何をどう変えればいいか分からない。
何をどう変えるかが言葉で出てくる講師なら、家でも一人で練習できる。
発音は、レッスン中より家での反復で変わる。だから持ち帰れる指示が出るかどうかを見る。
持ち帰れる指示とは、口の形と回数が決まっている宿題のことだ。
指導経験は年数ではなく中身を見る
指導歴10年と書かれていても、中身は人によって違う。
見るのは年数ではなく、誰に何を教えてきたかだ。
- 子どもが中心だったのか、大人が中心だったのか
- 初級者が中心だったのか、上級者が中心だったのか
- 日本語を母語とする人を教えた経験があるか
- 試験対策なのか、会話なのか、仕事の英語なのか
- 同じ生徒を長く担当した経験があるか
日本語を母語とする学習者を教えた経験があるかどうかは、国籍より実務的な差になる。
日本語話者に特有のつまずき方がある。
語順、冠詞、単数複数、音の区別といった箇所だ。
その傾向を知っている講師は、最初から要注意の箇所を見ている。
経験の中身を聞かずに年数だけで判断すると、自分と違う層を教えてきた講師に当たることがある。
子どもを長く教えてきた講師が大人に向かないという話ではない。ただし、使う言葉と進め方は変わる。
だから、自分と同じ層を教えた経験があるかを確かめる。
入会前に聞く|英会話スクールの講師配分の仕組み
入会前に聞いておくと、あとで困らない質問がある。
聞くのは講師個人のことではなく、仕組みのことだ。
- 講師はこちらが選べるのか、割り当てられるのか
- 同じ講師を継続して指名できるのか、その場合に追加の費用はかかるのか
- 希望する条件(母語・指導歴・日本語の可否)を伝えられるのか
- 講師が退職や異動でいなくなったとき、どう引き継がれるのか
- 何回目まで無料で講師を変更できるのか
- 予約が取りづらい時間帯に、希望の講師が埋まりやすいか
この6つに即答できるスクールは、講師の管理が仕組みとして回っている。
即答できない場合、現場の裁量で運用されている可能性がある。
裁量で運用されていると、担当者が変わったときに前の話が通らなくなることがある。
聞いた内容は、その場でメモに残して日付を書いておく。あとで確認するときの土台になる。
| 聞く相手 | 聞ける内容 | 限界 |
|---|---|---|
| 受付・カウンセラー | 制度と手続き | 現場の実態までは分からないことがある |
| 体験レッスンの講師 | レッスンの進め方 | 制度の話は答えられないことがある |
| 公式サイトの記載 | 公表されている基準 | 個別の運用は書かれていない |
3つとも聞いておくと、制度と実態のずれが見える。
予約の取りやすさが講師の配分を決めてしまうことがある
計画どおりの配分にできない最大の理由は、予約だ。
希望する講師の枠が、自分の空いている時間に無いということが起きる。
配分を設計するときは、自分がレッスンを受けられる曜日と時間から先に決める。
その時間帯にどの講師が入っているかを、入会前に見せてもらう。
| 確かめること | なぜ見るか |
|---|---|
| 自分が受けられる時間帯の講師一覧 | そもそも選択肢があるか |
| その時間帯の予約の埋まり方 | 希望が通る確率 |
| 何日前から予約できるか | 計画が立てられるか |
| キャンセルの期限と回数の扱い | 急な予定変更に耐えられるか |
講師の質が高くても、自分の受けられる時間に枠が無ければ、その講師は選択肢に入らない。
時間の制約は変えにくい。だから時間を先に置いて、その中で配分を組むほうが現実的だ。
夜と週末は、どのスクールでも混みやすい。
平日の昼に受けられる人は、選択肢が一気に広がる。
途中で講師の配分を変えたくなったときの申し出方
始めてから、配分を変えたくなることがある。
このとき、講師個人への不満として伝えると話がこじれる。
伝えるのは「合わない」ではなく「目的が変わったので構成を変えたい」という形にする。
- 今の状態を具体で書く(何ができて、何で詰まっているか)
- 次の3か月で達成したいことを1つ書く
- そのために厚くしたい軸を伝える(説明が欲しい/判定が欲しい)
- 希望する頻度と時間帯を伝える
- 変更の手続きと、いつから反映されるかを確認する
この5つを書いて持っていけば、相談は5分で終わる。
感情で伝えると相手も感情で受け取るので、数字と場面で伝えるほうが早く通る。
変更は悪いことではなく、学習が進んだ証拠であることが多い。進んだから必要な軸が変わった、という説明で通る。
スクール側も、途中で辞められるより構成を変えてもらうほうがいい。
だから相談は歓迎されることが多い。
遠慮して黙っているほうが、双方にとって損になる。
担当講師の情報として実際に開示されるもの
知りたいことのすべてが開示されるわけではない。
開示される範囲を先に知っておくと、聞き方が変わる。
| よく開示されるもの | 開示されないことがあるもの |
|---|---|
| 指導歴の年数 | 詳細な学歴や職歴 |
| 得意分野(ビジネス・試験・日常会話) | 評価や社内の等級 |
| 日本語対応の可否 | 日本語の具体的なレベル |
| 自己紹介の動画や音声 | 過去の受講者の評価の生データ |
| 担当できる時間帯 | 勤務の継続予定 |
開示されない項目を粘って聞くより、開示されている項目と体験レッスンで判断するほうが速い。
とくに自己紹介の動画があるなら、それが最も情報量の多い材料になる。
- 話す速度が自分にとって速すぎないか
- 聞き取れない箇所がどのくらいあるか
- 説明が構造的か、思いつきの順番か
- 日本語を使う場面で、どのくらい自然に切り替えているか
プロフィールの文章より、本人が話している素材のほうが判断材料として正確になる。
動画が用意されていないスクールでは、体験レッスンがその代わりになる。だから体験は必ず受ける。
体験で見るのは、教え方であって相性の良さではない。
体験レッスンで国籍以外に見るところ
体験レッスンは、楽しかったかどうかで判断しない。
見るのは、自分が間違えた箇所に対して、講師がどう反応したかだ。
- 間違いをその場で拾ったか、流したか
- 拾った間違いを、規則として説明したか、言い換えだけで済ませたか
- 同じ間違いが2回出たときに、指摘の仕方を変えたか
- 最後に、次に何をすればいいかを具体的に言ったか
この4つは、教える訓練を受けているかどうかで差が出る。
楽しく話せただけのレッスンは、相性は分かるが、教える力は分からないまま終わる。
あえて自分が苦手な話題を出してみると、詰まったときの手当てが見られる。
詰まったときに、日本語に切り替えて助けてくれるのか、英語のまま待つのか。
どちらが正しいということはなく、自分がどちらを望むかの問題になる。
その希望を、体験の冒頭で伝えておくと精度が上がる。
講師の国籍で料金差が付いている場合の考え方
スクールによっては、講師の区分で料金が変わる。
この差をどう考えるかを、最後に整理しておく。
料金差は、その区分の講師が希少かどうかを反映しているだけで、指導の質の差とは限らない。
だから、高いほうが自分に効くとは限らない。
| 場面 | 高い枠を使う価値 | 安い枠で足りる場面 |
|---|---|---|
| 言い回しの判定が欲しい | 高い | ― |
| 同じ型を何度も反復したい | ― | 安い枠で回数を増やす |
| 面接や商談の直前 | 高い | ― |
| 話す量を増やしたい | ― | 安い枠で頻度を上げる |
月々1万円(税込)の枠を週1回から週2回に増やすのと、単価の高い枠を月1回足すのとでは、効き方が違う。
回数が必要な時期に単価の高い枠へ寄せると、練習量が足りないまま費用だけが増える。
反復が要る時期は回数、判定が要る時期は単価、という切り替えで考える。
この切り替えも、3か月ごとの見直しの中で決めればいい。
英会話の講師を国籍で選ぶと何を失うか
最後に、国籍で絞ることの実害を書いておく。
- 自分に合う講師が、最初の段階で候補から消える
- 予約できる枠が減り、受けられる回数が落ちる
- 伸びなかったときに、原因を講師の属性に帰してしまう
- 本来見るべき指導経験や説明力を確かめないまま契約する
いちばん大きい損失は、伸びない原因を取り違えて、次の手が打てなくなることだ。
国籍を理由にすると、その先の改善の打ち手が出てこない。
母語・指導経験・説明力の3軸で見ていれば、足りない軸を足すという打ち手が出る。
打ち手の出る枠組みで考えることが、学習を続けるうえでいちばん重要になる。
人を属性で評価しないという原則は、倫理の話であると同時に、実利の話でもある。
誤った指標で選べば、誤った結果が返ってくるだけだ。
英会話の講師の国籍でよくある質問
初心者はやはり日本人講師から始めるべきですか
日本人かどうかではなく、日本語で説明できるかどうかで考える。
日本語で説明できる講師であれば、その人の国籍は問題にならない。
最初の3か月は、その軸を厚くすると設計が早く固まる。
ネイティブ講師でないと発音は身につきませんか
発音を直せるかどうかは、母語ではなく訓練歴で決まる。
口の形と息の出し方を説明できる講師なら、家で反復できる指示が出る。
母語話者であっても、直し方を学んでいなければ具体的な指摘は出てこない。
講師の訛りが気になります
訛りの無い英語は存在しないので、聞き取れるかどうかで判断する。
実際の仕事や旅行では、さまざまな訛りの相手と話すことになる。
その意味で、複数の訛りに触れておくほうが実用的だ。
講師は毎回変えたほうがいいですか
課題を継続して追ってほしいなら固定、慣れを防ぎたいなら時々入れ替える。
固定を軸にして、月に1〜2回だけ別の講師を入れる形が扱いやすい。
料金が高い講師のほうが伸びますか
料金差は希少性を反映しているだけで、自分に効くかどうかとは別の話になる。
反復が必要な時期は、回数を増やすほうが結果につながることが多い。
プロフィールに国籍しか書かれていない場合はどうしますか
指導歴・得意分野・日本語対応の可否を追加で聞いてよい。
その質問に答えられないスクールは、講師の情報を管理していない可能性がある。
途中で講師を変えたいと言うと角が立ちませんか
目的が変わったので構成を変えたい、という形で伝えれば角は立たない。
現在地と次の3か月の目標を書いて持っていくと、相談は短く終わる。
複数のスクールを併用して軸を分けてもいいですか
目的が明確なら、併用は選択肢になる。
ただし管理する手間と費用が増えるので、まずは1社の中で配分を組めないかを先に確認する。
まとめ|英会話の講師の国籍はラベルであって、効くのは母語・指導経験・説明力
講師選びは、国籍という欄を脇に置くところから始まる。
- 今月の目的を、場面の形で1つ書き出す
- 自分が受けられる曜日と時間を先に決める
- 母語・指導経験・日本語での説明可否の3軸で、今厚くしたい軸を選ぶ
- スクールに、講師の配分の仕組みを6つの質問で確認する
- 体験レッスンで、間違えたときの反応を見る
- 3か月ごとに配分を見直し、必要なら構成の変更を申し出る
この6手順は、どのスクールでも、どのレベルでも同じ順番で使える。
そして、どの手順にも国籍を判断材料にする場面は出てこない。
出てこないのは、そこに情報が無いからだ。
確かめられない情報で悩む時間を、確かめられる情報を集める時間に振り替える。
振り替えた分だけ、講師選びは短く終わる。
短く終われば、残りの時間は練習に使える。
最後に効いてくるのは、誰に習ったかより、どれだけ積んだかになる。

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