
誇大広告は、広告の表現が実際より大きく見える状態のことだ。
英会話スクールの広告では、期間と成果の言い方にこれが出やすい。
法律は2本あり、どちらも「著しく」という言葉で線を引いている。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、特定商取引法と景品表示法の条文を読み、読者の側で確かめられる形に落とす。
線を引いているのは「著しく」の一語だ。
先に結論を示し、そのあとで条文・判定・確かめ方の順に進める。
この記事の内容は2026-10-09時点の公表資料にもとづく。
個別の広告の違法性の判断は各行政庁・各窓口にご確認ください。
【結論】誇大広告は2本の法律で縛られている
特商法43条と景表法5条の2本
英会話スクールの広告を縛る条文は、ひとつではない。
特定商取引法第43条は、特定継続的役務提供の広告について誇大広告等の禁止を定めている。
景品表示法第5条は、不当な表示の禁止として事業者の表示そのものを縛っている。
| 法律 | 条文 | 縛る範囲 |
|---|---|---|
| 特定商取引法 | 第43条 | 特定継続的役務提供の広告 |
| 景品表示法 | 第5条 | 自己の供給する商品又は役務の取引の表示 |
対象の契約が特定継続的役務提供でなくても、景品表示法は掛かってくる。
2本のどちらかに当たれば、その広告は問題になりうる。
誇大広告を禁じる特定商取引法第43条の読み方
まず特定商取引法の側から読む。
第43条は、役務提供事業者又は販売業者が広告をするときの縛りとして置かれている。
条文では、当該特定継続的役務の内容又は効果その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をしてはならないとされている。
実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示も、同じく禁じられている。
- 対象は特定継続的役務の内容又は効果
- 禁じられるのは著しく事実に相違する表示
- 著しく優良・有利と誤認させる表示も同じく禁止
効果の表示が条文に名指しで書かれているのが、この条の特徴だ。
どんな契約が対象かは特定継続的役務提供とはにまとめている。↓

誇大広告を禁じる景品表示法第5条の3つの号
景品表示法は、3つの号に分けて禁じている。
第1号は、品質・規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を挙げている。
第2号は、価格その他の取引条件について、取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を挙げている。
第3号は、前2号のほか一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣が指定するものとされている。
| 号 | 呼び名 | 問題になる軸 |
|---|---|---|
| 第1号 | 優良誤認表示 | 品質・規格その他の内容 |
| 第2号 | 有利誤認表示 | 価格その他の取引条件 |
| 第3号 | 指定表示 | 内閣総理大臣が指定したもの |
内容の盛りすぎは第1号、条件の盛りすぎは第2号に向かう。
誇大広告の判定で効く「不当に顧客を誘引」の要件
条文は、著しさだけで切っていない。
第1号も第2号も、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるものという要件を置いている。
つまり、選ぶ判断をゆがめるかどうかが問われている。
ゆがめるかどうかが要件
大げさな言い方でも、判断に影響しなければ要件に届かないことがある。
逆に、小さな但し書きで隠した条件は判断をゆがめる側に働く。
広告を見るときは、目立つ文字と小さい文字の差を先に見ることになる。
誇大広告に対する裏付け資料の提出の求め
効果をうたう広告には、裏付けを出させる仕組みがある。
景品表示法第7条第2項は、第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときに、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとしている。
当該事業者が当該資料を提出しないときは、当該表示は同号に該当する表示とみなすとされている。
資料を出せない広告は、提出しないだけで優良誤認とみなされる。
| 手続 | 資料を出さなかったとき |
|---|---|
| 措置命令(第7条第2項) | 該当する表示とみなす |
| 課徴金納付命令(第8条第3項) | 該当する表示と推定する |
みなすと推定するで、条文上の強さが違っている。
誇大広告が課徴金につながる仕組み
金銭的な不利益の仕組みも用意されている。
景品表示法第8条第1項は、課徴金対象行為をしたときの課徴金を定めている。
算定は、課徴金対象期間に取引をした商品又は役務の売上額に百分の三を乗じて得た額とされている。
ただし、その額が150万円未満であるときは、その納付を命ずることができないとされている。
第5項では、過去10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある場合に百分の四・五と読み替えるとされている。
| 区分 | 算定率 |
|---|---|
| 原則 | 売上額の3% |
| 10年以内に課徴金納付命令を受けていた場合 | 売上額の4.5% |
売上額の算定の方法は、政令で定める方法によるとされている。
広告に出ている受講料が税込か税抜かは、売上額の見え方にも関わってくる。
課徴金対象行為からは、第5条第3号に該当する表示が除かれている。
誇大広告が出やすい英会話スクールの表現
広告でよく見る言い方には、型がある。
期間と成果を結び付けた言い方は、内容又は効果の表示になる。
人数や実績の数え方をはっきり書かない言い方も、同じ側に寄る。
- 短い期間で成果が出ると言い切る表現
- 対象や条件を書かずに数字だけを出す表現
- 割引前の価格の根拠を書かない表現
- 返金の条件を小さく書く表現
数字が出ているほど、どう数えたかの説明が要る。
割引前価格の確かめ方は二重価格表示の見分け方にまとめている。↓

誇大広告かどうかを読者の側で確かめる手順
読者の側でも、順番に見れば差が出る。
広告の言い方と、概要書面や規約の記載を並べるのが先になる。
| 順番 | 確かめること |
|---|---|
| 1 | 広告の数字がどう数えられたかの説明を探す |
| 2 | 注記や小さい文字の条件を全部読む |
| 3 | 同じ条件が概要書面にも書かれているか見る |
| 4 | 食い違いがあれば問い合わせて回答を残す |
書面と広告を並べる
広告で言われたことが書面に無ければ、その差が争点になる。
回答はメールなど残る形でもらっておく。
誇大広告に気づいたあとに取れる手
気づいたときの動き方は、2方向に分かれる。
自分の契約を片づける道と、表示そのものを止める道がある。
自分の契約については、勧誘のときに言われた内容が取消しの材料になる。
表示そのものについては、行政への情報提供や適格消費者団体への情報提供という道がある。
自分の返金と、広告をやめさせる話は別に走っている。
説明と違ったときの取消しは不実告知で契約を取り消す手順にまとめている。↓

誇大広告についてのよくある質問
Q. 大げさな広告はすべて違法ですか
- A. 条文は著しく事実に相違する表示や著しく優良・有利と誤認させる表示を対象としており、著しさと誘引の要件で判断される。
Q. 景品表示法の課徴金は何パーセントですか
- A. 原則は売上額の3%で、10年以内に課徴金納付命令を受けていた場合は4.5%と読み替えられる。
Q. 裏付け資料を出さないとどうなりますか
- A. 措置命令の場面では該当する表示とみなされ、課徴金の場面では該当する表示と推定される。
Q. 課徴金に下限はありますか
- A. 算定した額が150万円未満のときは納付を命ずることができないとされている。
Q. 特定商取引法と景品表示法はどちらが掛かりますか
- A. 特定継続的役務提供に当たる契約の広告には第43条が、それ以外も含めて事業者の表示には景品表示法第5条が掛かる。
まとめ|誇大広告は数字の数え方で見抜く
覚えておくことは3つにまとまる。
- 縛る条文は特定商取引法第43条と景品表示法第5条の2本
- 線を引いているのは著しさと誘引のおそれ
- 裏付け資料を出せない表示は不利に扱われる
広告で迷ったら、数字の数え方を聞くのが早い。
数え方を聞く
答えが返ってこない数字は、判断の材料から外しておく。
書面に書けない話は、広告にも書けない話だと考えておく。
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参考文献
- 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 表示対策|景品表示法(消費者庁)
- 特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド(消費者庁)
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