
支払督促は、裁判所に出向かずに、書類の審査だけでお金の支払を求められる手続だ。
英会話スクールが返金をしぶっているとき、訴訟より軽い入口として候補に挙がる。
ただし、相手が異議を出すと、そこから先は訴訟の手続に移る。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、裁判所の案内をもとに流れを整理する。
相手が2週間以内に異議を出さなければ、強制執行まで進める道が開く。
先に結論を示し、そのあとで申立先・書類・流れ・異議の順に進める。
個別の契約の扱いは各事業者・各窓口にご確認ください。
【結論】支払督促は相手が争わない返金に向いた書類だけの手続
審査は書類だけで進む
裁判所の案内では、支払督促は書類審査のみなので、審理のために裁判所に来る必要はないとされている。
債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、債権者の申立てで仮執行宣言が付く。
額に争いが無く、相手が払わないだけなら、この手続が合っている。
| 比べる点 | 支払督促 | 少額訴訟 |
|---|---|---|
| 審理 | 書類審査のみ | 原則1回の審理 |
| 相手が争ったとき | 訴訟の手続に移る | そのまま審理する |
相手が額を争いそうなら、最初から訴訟を選ぶほうが手間が少ないこともある。
支払督促が英会話スクールの返金で合う場面
支払督促が合うのは、返す額にお互いの食い違いが小さい場面だ。
| 場面 | 合うかどうか |
|---|---|
| 解約は認めたのに返金が振り込まれない | 合う |
| 返金額は合意したが支払日を過ぎた | 合う |
| 精算の計算方法そのものを争っている | 異議で訴訟に移りやすい |
スクールが解約を受け付けた記録があれば、それが請求の土台になる。
額に争いがあるなら、先に精算の計算を確かめるのが順番だ。
返ってくる額の出し方は中途解約したときの精算にまとめている。↓

支払督促の申立先
申立ては、相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して行う。
申立先の裁判所は、裁判所の申立書提出先一覧で調べられる。
相手の住所地の簡易裁判所へ
督促手続オンラインシステムを使う場合は、東京簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てることもできる。
スクールの本社がどこにあるかは、契約書面の事業者欄で確かめる。
教室の所在地と本社の所在地が違うことはよくあるので、書面の表記をそのまま写す。
支払督促の申立ての方法と費用
申立ての方法は3つから選べる。
| 方法 | 中身 |
|---|---|
| 書面 | 紙の申立書を管轄の裁判所に出す |
| mints | 民事裁判書類電子提出システムで出す |
| 督促手続オンラインシステム | 専用のオンラインシステムで出す |
裁判所には、申立手数料を納める。
従来は別だった郵便費用は、申立手数料に一本化された。
申立手数料は、原則としてペイジーで電子納付する。
手数料の額は、裁判所の手数料早見表で請求額ごとに確かめる。
請求する返金の額は、払った額を税込で数えた合計にすると、領収書の数字と食い違わない。
支払督促で用意する書類
書類は、申立書が中心になる。
- 申立書(mintsなら申立てフォームで作れる)
- 当事者が法人の場合は登記事項証明書1通
相手の英会話スクールが会社なら、登記事項証明書が要る場面に当たる。
申立書には、請求の中身が書類だけで伝わるように、契約日・支払額・返金の約束を並べる。
書類審査だけで進むので、書類の分かりやすさがそのまま結果を左右する。
相手に返金を求めた記録の残し方はクーリングオフのやり方にまとめている。↓

支払督促の申立書を書く前にそろえる材料
申立書は、読んだ書記官が請求の筋を書類だけでつかめる形にする。
そのために、手元の材料を先に1か所へ集めておく。
| 材料 | 申立書のどこで使うか |
|---|---|
| 契約書面 | 契約した日・相手の正式な名前・契約金額 |
| 領収書や振込の記録 | 実際に払った額と日付 |
| 解約や返金を伝えた記録 | 請求の理由と、伝えた日 |
| スクールからの返事 | 返金の約束や、支払期限の有無 |
スクールがメールで返金を約束していたなら、その文面は大きな材料になる。
口頭のやり取りしか無いときは、日付と相手の名前と言われた中身をメモに起こしておく。
材料を日付順に並べると、請求の理由の欄がそのまま書ける。
相手の会社名は、略称ではなく契約書面にある正式な名前で書く。
名前や住所が違っていると、支払督促が相手に届かず、手続が止まるもとになる。
請求する額は、払った額から受けたレッスン分などを差し引いた計算の過程まで残しておく。
異議が出て訴訟に移ったときも、この計算メモがそのまま使える。
支払督促の流れ
申立てから強制執行の申立てまでは、6つの段で進む。
| 順番 | 起きること |
|---|---|
| 1 | 申立てを受けて裁判所書記官が審査する |
| 2 | 支払督促が発付され、相手に送達される |
| 3 | 相手は受け取ってから2週間以内に異議を出せる |
| 4 | 異議が無ければ仮執行宣言を申し立てる |
| 5 | 仮執行宣言付支払督促が双方に送達される |
| 6 | 強制執行の申立てができる |
仮執行宣言の申立ては30日以内
仮執行宣言の申立ては、支払督促送達日の翌日から起算して2週間目の翌日から30日以内に行う。
この期間を過ぎないように、送達の日を控えておく。
支払督促に異議が出たとき
相手が異議を出すと、支払督促の手続はそこで形を変える。
異議が申し立てられると、通常訴訟に移行する。
請求額に応じて、地方裁判所か簡易裁判所の民事訴訟の手続になる。
仮執行宣言付支払督促を受け取ってからも、相手は2週間以内なら異議を出せる。
異議が出る前提で、訴訟でも使える証拠をそろえておく。
仮執行宣言付支払督促に異議が無ければ、支払督促は確定する。
訴訟に移ると、申立てのときに出した書類だけでは足りず、証拠の写しを改めて出すことになる。
移った先の裁判所から届く案内を読み、期日の日付をすぐに控えておくと慌てずに済む。
支払督促と少額訴訟の選び方
どちらも、返金を求めるときの手続の候補になる。
- 相手が払う気はあるのに動かない=支払督促
- 返金額そのものに争いがある=少額訴訟や通常の訴訟
- 60万円を超える請求=支払督促か通常の訴訟
支払督促は、相手が異議を出さないかぎり書類だけで終わる。
争いがあるなら訴訟が近道
相手が争うと分かっているなら、異議で移るのを待つより最初から訴訟を選ぶ考え方もある。
裁判の前に話し合いで決着をつける道は国民生活センターのADRの使い方にまとめている。↓

支払督促の前に試しておく段
支払督促は、話し合いが尽きたあとの手続だ。
その前に、書面での請求と相談窓口を通しておくと、記録が厚くなる。
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | スクールへ書面で返金を求める |
| 2 | 消費生活センターに相談する |
| 3 | 返金額と支払期限を記録にまとめる |
書面で請求した日付は、申立書の中でもそのまま使える。
相談の中で、スクール側が返金に応じることもある。
相談員から事業者へ連絡を入れてもらえる場合もあるので、記録を持って相談に行くと話が早い。
相談の入口は消費者ホットライン188の使い方にまとめている。↓

支払督促についてのよくある質問
Q. 裁判所へ行く必要はありますか
- A. 書類審査のみなので、審理のために裁判所に来る必要はないとされている。
Q. どこに申し立てますか
- A. 相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てる。
Q. 相手が異議を出したらどうなりますか
- A. 請求額に応じ、地方裁判所か簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行する。
Q. 相手の異議の期限はいつまでですか
- A. 債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内とされている。
Q. ネットで申し立てられますか
- A. mintsか督促手続オンラインシステムで電子申立てができる。
まとめ|支払督促は争いの少ない返金を書類で求める道
覚えておくことは3つにまとまる。
- 審査は書類だけで、裁判所へ行かなくてよい
- 相手は2週間以内なら異議を出せる
- 異議が出ると訴訟の手続に移る
相手が額を争っていないなら、短い道で返金にたどり着ける。
送達の日を控えておく
期限の数え方を間違えないことが、この手続でいちばん大事な点になる。
日付の並んだ記録が、どの手続でもいちばん強い材料になる。
\契約の前に読む物差し/
英語サービス55社を見て作った10の基準
解約と返金の条件も採点項目に入れる
参考文献
- 支払督促(裁判所)
- 少額訴訟(裁判所)
- 特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド(消費者庁)
あわせて読みたい
返金の上限額の出し方は英会話スクールの解約と返金にまとめている。↓

分割払いを止める道は支払停止の抗弁の出し方にまとめている。↓



コメント