
消滅時効は、権利を一定の期間使わずにいると、その権利が消えてしまう民法の決まりだ。
英会話スクールに返金を求めたまま話が進まず、気づけば長い時間がたっていることがある。
返金を求める権利も債権なので、放っておけば消滅時効にかかる。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、民法第145条から第166条までを読み、期限の数え方と止め方を整理する。
知った時から5年、行使できる時から10年のどちらか早いほうで消える。
先に結論を示し、そのあとで数え方・止め方・当てはめ方の順に進める。
個別の事情での扱いは各窓口や専門家にご確認ください。
【結論】消滅時効は5年と10年の2本の期限で数える
5年と10年の早いほう
民法第166条第1項は、債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅するとしている。
| 期限 | 数え始め |
|---|---|
| 5年 | 権利を行使することができることを知った時から |
| 10年 | 権利を行使することができる時から |
2本の期限のうち、先に来たほうで時効が完成することになる。
返金を求められると知った日を、メモや記録で残しておく。
期限の前でも、手を打てば時効の完成を止められる。
消滅時効が進み始める2つの時点
数え始めの時点が2つある点を、先に押さえる。
5年のほうは、権利を行使できることを本人が知った時から進む。
10年のほうは、本人が知っていたかどうかにかかわらず、権利を行使できる時から進む。
- 知った時から5年=本人の認識で決まる期限
- 行使できる時から10年=本人の認識にかかわらない期限
- どちらか一方が過ぎれば時効は完成する
返金の約束の日や解約の日など、権利を使えるようになった日を書き出しておく。
時効の効力は起算日にさかのぼると、民法第144条は定めている。
消滅時効は援用しないと裁判で使われない
期限が過ぎても、それだけで自動的に請求できなくなるわけではない。
民法第145条は、時効は当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないとしている。
消滅時効では、保証人など権利の消滅について正当な利益を有する者も、援用できる当事者に含まれている。
時効は主張されて初めて使われる
また、第146条は、時効の利益はあらかじめ放棄することができないとしている。
契約書に「時効を主張しない」とあっても、前もって放棄させる取り決めは条文で認められていない。
規約の条項の確かめ方は利用規約の読み方と確認手順にまとめている。↓

消滅時効の完成を止める裁判所の手続
時効の完成を止める代表的な方法は、裁判所の手続を使うことだ。
民法第147条は、次の事由がある場合には、その事由が終了するまでの間は時効は完成しないとしている。
| 号 | 事由 |
|---|---|
| 第1号 | 裁判上の請求 |
| 第2号 | 支払督促 |
| 第3号 | 裁判上の和解又は民事調停 |
| 第4号 | 破産手続参加・再生手続参加・更生手続参加 |
確定判決などで権利が確定したときは、時効は事由が終了した時から新たにその進行を始めるとされている。
権利が確定せずに手続が終わったときは、終了の時から6か月を経過するまで時効は完成しない。
どの手続を選ぶかは、金額や相手の態度で変わる。
第147条の4つの事由は、どれも裁判所を通す手続である点が共通しているので、申し立てた日付と事件番号を控えておく。
消滅時効と催告の6か月
裁判所の手続の前に、まず相手に支払いを求めることがある。
民法第150条は、催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しないとしている。
催告での猶予は1回だけ
同条第2項は、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しないとしている。
催告で稼げるのは6か月なので、その間に裁判所の手続か協議の合意を考える。
求めた日と内容があとで分かるように、記録の残る方法で送っておく。
催告の6か月の間に協議の合意をしても、その合意は完成猶予の効力を有しないと、第151条第3項は定めている。
消滅時効と協議を行う旨の合意
スクールと話合いを続けるときに使える方法もある。
民法第151条は、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、一定の時まで時効は完成しないとしている。
| 猶予が終わる時 | 条文の定め(要旨) |
|---|---|
| 第1号 | 合意があった時から1年を経過した時 |
| 第2号 | 1年に満たない協議の期間を決めたときは、その期間を経過した時 |
| 第3号 | 協議の続行を拒絶する通知が書面でされたときは、その時から6か月を経過した時 |
第1号から第3号までのうち、いずれか早い時までが猶予の期間になる。
合意は書面でする必要があり、内容を記録した電磁的記録でされたときも書面とみなされる。
再度の合意もできるが、猶予が無かったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることはできない。
消滅時効をリセットする承認
相手の対応しだいで、時効が最初から数え直しになることがある。
民法第152条は、時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始めるとしている。
- 権利の承認があった
- その時から新たに時効が進む
- それまでに進んだ期間は数え直しになる
スクールが返金の義務を認めたメールや書面は、承認に当たるかを考える材料として保存しておく。
承認に当たるかどうかの判断は、個別の事情で変わる。
同条第2項は、承認をするのに、相手方の権利について処分の行為能力や権限があることは要しないとしている。
消滅時効を英会話スクールの返金に当てはめる
ここまでの条文を、返金を求める場面に当てはめて整理する。
| やること | 使う条文 | 効果 |
|---|---|---|
| 権利を使えるようになった日を確かめる | 第166条 | 5年と10年の起点が分かる |
| 返金を求める | 第150条 | 6か月は時効が完成しない |
| 話合いの合意を書面で残す | 第151条 | 最長1年ずつ猶予される |
| 裁判所の手続を使う | 第147条 | 手続の間は時効が完成しない |
期限が近いと感じたら、催告だけで済ませずに次の手を早めに決める。
解約と返金の基本の流れは英会話スクールの解約と返金にまとめている。↓

消滅時効についてのよくある質問
Q. 返金を求める権利は何年で消えますか
- A. 知った時から5年、又は行使できる時から10年のどちらか早いほうで時効が完成する。
Q. 返金を求めるメールを送れば時効は止まりますか
- A. 催告があった時から6か月は完成しないが、再度の催告では延びない。
Q. 話合いを続けているだけで止まりますか
- A. 協議を行う旨の合意を書面や電磁的記録でしておく必要がある。
Q. 期限が過ぎたら必ず請求できませんか
- A. 時効は当事者が援用しなければ、裁判所はそれによって裁判をすることができない。
Q. どこに相談すればよいですか
- A. 消費者ホットライン188で、近くの消費生活相談の窓口を案内してもらえる。
Q. 時効が完成するとさかのぼって消えますか
- A. 時効の効力は、その起算日にさかのぼると民法第144条は定めている。
Q. 協議の合意は何度でもできますか
- A. 再度の合意はできるが、本来の完成の時から通じて5年を超えることはできない。
まとめ|消滅時効は起点と止め方の2つで考える
覚えておくことは3つにまとまる。
- 知った時から5年、行使できる時から10年の早いほうで完成する
- 催告は6か月、協議の合意は最長1年の猶予になる
- 裁判所の手続や承認で、完成が止まったり数え直しになったりする
返金の話が長引いているなら、権利を使えるようになった日を先に書き出す。
起点の日付を記録に残す
相談の窓口の使い方は消費者ホットライン188の使い方にまとめている。↓

やり取りの記録を日付つきで保存しておくことが、あとで自分を守る材料になる。
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参考文献
- 民法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
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