
少額訴訟は、60万円以下のお金の支払を求めるときに使える、簡易裁判所の手続だ。
英会話スクールに返金を求めても動いてくれないとき、話し合いの次の段として名前が挙がる。
ただ、通常の裁判とは決まりがかなり違う。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、裁判所の案内をもとに流れを整理する。
原則1回の審理で決着をつけるので、準備は最初の期日までに終わらせる。
先に結論を示し、そのあとで条件・書類・審理・判決後の順に進める。
個別の契約の扱いは各事業者・各窓口にご確認ください。
【結論】少額訴訟は60万円以下の返金を1回の審理で求める手続
対象は60万円以下の金銭の支払
裁判所の案内では、民事訴訟のうち60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続とされている。
返金の額がこの線に収まるなら、通常の訴訟より短い道になる。
| 比べる点 | 少額訴訟 | 通常の訴訟 |
|---|---|---|
| 求められるもの | 60万円以下の金銭の支払 | 金額の制限なし |
| 審理の回数 | 原則1回 | 複数回になることが多い |
| 判決への不服 | 異議の申立てのみ | 控訴できる |
どちらを選ぶかは、請求額と証拠のそろい具合で決まる。
証拠が手元で完結しているほど、少額訴訟の形に向いている。
少額訴訟が英会話スクールの返金で候補になる場面
英会話スクールとの争いの多くは、お金をいくら返すかの話になる。
| 場面 | 請求の中身 |
|---|---|
| 中途解約の精算額が合わない | 法律の上限を超えて差し引かれた分 |
| クーリングオフ後に返金が無い | 支払った全額 |
| 受けていないレッスン分が返らない | 未消化分の代金 |
どの場面でも、いくら払い、いくら返るべきかを数字で示せることが前提になる。
請求額を計算できないうちは、手続より先に精算の確認が要る。
返ってくる額の出し方は中途解約したときの精算にまとめている。↓

少額訴訟の申立先と申立ての方法
訴えを起こすときは、裁判所に訴状を出す。
少額訴訟は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に起こす。
金銭の請求なら、支払をすべき場所の簡易裁判所にも起こせるとされている。
| 方法 | 中身 |
|---|---|
| 書面による申立て | 紙の訴状を管轄の裁判所に出す |
| 電子申立て | 民事裁判書類電子提出システム(mints)を使う |
mintsでは事件種別を少額訴訟に
mintsで出すときは、申立てフォームの事件種別で少額訴訟を選ぶ。
mintsを使うには、先にアカウント登録が必要になる。
どの簡易裁判所が申立先かは、裁判所の申立書提出先一覧で調べられる。
少額訴訟にかかる費用
申立てには、裁判所に申立手数料を納める。
金額は、裁判所の手数料早見表で請求額ごとに確かめる。
従来は別に必要だった郵便費用は、申立手数料に一本化された。
申立手数料は、原則としてペイジーで電子納付する。
ペイジーなら、インターネットバンキングや金融機関のATMから払える。
請求する返金の額は、払った額を税込で数えた合計にすると、領収書の数字と食い違わない。
費用を払う資力が乏しい人のために、訴訟上の救助という支払を猶予する制度もある。
裁判所の案内では、法テラスの民事法律扶助による立替制度も紹介されている。
少額訴訟で用意する書類と証拠
書類は、訴状と証拠の写しが中心になる。
- 訴状(mintsなら申立てフォームで作れる)
- 当事者が法人の場合などは各種資格証明書
- 証拠となる文書の写しで重要なもの
英会話スクールが相手なら、相手は法人であることが多い。
その場合は、資格証明書が要る場面に当たる。
証拠は審理の日に調べられるものだけ
証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られる。
契約書面・領収書・解約を伝えた記録は、日付順にそろえておく。
契約を解除するときの記録の残し方はクーリングオフのやり方にまとめている。↓

少額訴訟の審理の進み方
原則1回の審理で決着を目指すのが、この手続の形だ。
そのため、原告は最初の期日までに、すべての言い分と証拠を裁判所に出すことになる。
当日になって書類を取りに戻ることはできないので、持ち物は前日までに一式そろえておくのが安全だ。
相手のスクールの担当者の話を聞きたいなら、その人に当日来てもらう段取りまで考えておくことになる。
審理の途中で、話し合いで解決することもできる。
これを和解といい、通常の訴訟と同じく選べる道だ。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 訴状を出す |
| 2 | 最初の期日までに言い分と証拠をすべて出す |
| 3 | 期日に審理を受ける |
| 4 | 判決または和解で終わる |
2回目があると思わずに、1回で言い切る準備をする。
少額訴訟の判決で出ることがある分割払い
言い分が認められても、全額をすぐ受け取れるとは限らない。
少額訴訟では、分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決がされることがある。
この分割や猶予は、判決言渡しの日から3年を超えない範囲内とされている。
分割の定めには不服を言えない
判決に伴う分割払や支払猶予の定めには、不服申立てができない。
判決書や和解調書をもとに、強制執行を申し立てることができる。
判決をした簡易裁判所でも、給料や預金への少額訴訟債権執行を申し立てられる。
少額訴訟を使う前に知っておく制限
手軽に見えても、いくつかの制限がある。
| 制限 | 中身 |
|---|---|
| 利用回数 | 1人につき同じ裁判所に年間10回まで |
| 通常訴訟への移行 | 被告の申立てや裁判所の判断で移ることがある |
| 不服申立て | 異議の申立てに限られ、控訴はできない |
相手のスクールが通常訴訟への移行を申し立てれば、そちらの手続になる。
争いが複雑な場合も、裁判所の判断で通常訴訟に移ることがある。
移行もありうると知ったうえで、証拠を厚めに用意しておく。
少額訴訟の判決に納得できないとき
判決への不服の出し方も、通常の訴訟とは違う。
判決を受け取った日の翌日から2週間以内に異議を申し立てなければ、判決は確定する。
異議があると、同じ簡易裁判所で通常の手続により審理される。
その異議訴訟の判決には、控訴が禁止されている。
異議の期限は2週間なので、判決を受け取った日をメモしておく。
裁判の前に、話し合いで解決する道を試しておくのもひとつの順番だ。
話し合いでの解決の段は国民生活センターのADRの使い方にまとめている。↓

少額訴訟の前に済ませておく3つの段
いきなり訴状を書くより、手前の段を踏んだほうが話は早い。
| 段 | やること | 残るもの |
|---|---|---|
| 1 | スクールへ書面で返金を求める | 通知の控えと日付 |
| 2 | 消費生活センターに相談する | 相談した日と助言の中身 |
| 3 | 請求額を計算して根拠をそろえる | 契約書面・領収書・計算メモ |
1つ目の段で返金されれば、裁判所まで行く必要はなくなる。
返事が無いまま期日が過ぎても、その経過がそのまま証拠の一部になる。
手前の段で作った記録は、最初の期日に出す証拠の束にそのまま入る。
相談先で計算の誤りに気づくこともあるので、請求額は相談のあとで固めるとよい。
費用の面で迷うときは、法テラスの無料法律相談の条件も確かめておく。
少額訴訟についてのよくある質問
Q. いくらまで請求できますか
- A. 60万円以下の金銭の支払を求める訴えが対象になる。
Q. 審理は何回ありますか
- A. 原則として1回の審理で紛争解決を図る手続とされている。
Q. どこの裁判所に出しますか
- A. 原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に起こす。
Q. 判決に不服なら控訴できますか
- A. 控訴はできず、不服申立ては異議の申立てに限られる。
Q. 何回でも使えますか
- A. 1人につき同じ裁判所に年間10回までと制限されている。
まとめ|少額訴訟は証拠をそろえてから1回で臨む
覚えておくことは3つにまとまる。
- 対象は60万円以下の金銭の支払
- 言い分と証拠は最初の期日までにすべて出す
- 判決への不服は2週間以内の異議だけ
請求額と証拠がそろっていれば、短い道で決着をつけられる。
準備は最初の期日までに
証拠が足りないうちは、通知と相談の段で記録を積み上げる。
日付の並んだ記録が、どの手続でもいちばん強い材料になる。
\契約の前に読む物差し/
英語サービス55社を見て作った10の基準
解約と返金の条件も採点項目に入れる
参考文献
- 少額訴訟(裁判所)
- 無料法律相談のご利用の流れ(法テラス)
- 特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド(消費者庁)
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