
定型約款は、事業者が大勢の利用者と同じ条件で契約するために用意した条項のまとまりを指す、民法の言葉だ。
オンライン英会話に申し込むとき、長い利用規約に同意のチェックを入れて先へ進むことが多い。
その規約の1つ1つに、本当に合意したことになるのかは、民法の条文で決まっている。
この記事では、英語サービスを55社以上見てきた立場から、民法第548条の2から第548条の4までを読み、規約の読み方を整理する。
規約を全部読んでいなくても、条件がそろえば合意したとみなされる。
先に結論を示し、そのあとで合意・表示・変更の順に進める。
個別の契約の扱いは各事業者・各窓口にご確認ください。
【結論】定型約款は読まなくても合意したとみなされることがある
全部読んでいなくても合意扱い
民法第548条の2第1項は、定型取引を行うことの合意をした者は、一定の場合に定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなすとしている。
ただし、相手方の利益を一方的に害する条項は、合意をしなかったものとみなされる。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 規約を契約の内容とする合意をした | 個別の条項にも合意したとみなす |
| 事業者があらかじめ規約を契約の内容とする旨を表示していた | 個別の条項にも合意したとみなす |
| 一方的に利用者の利益を害する条項 | 合意をしなかったものとみなす |
同意のボタンを押す前に、どの条項が自分の契約にかかわるかを先に読む。
全部の条項が無条件に有効になるわけではない、という点が大事になる。
定型約款に当たる取引の条件
まず、どんな取引が定型取引に当たるのかを押さえる。
条文は、定型取引を、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引で、内容の全部又は一部が画一的であることが双方にとって合理的なものとしている。
定型約款は、その定型取引で契約の内容とすることを目的として、その特定の者が準備した条項の総体とされている。
| 言葉 | 条文の定め(要旨) |
|---|---|
| 定型取引 | 不特定多数を相手に、画一的な内容で行うのが双方にとって合理的な取引 |
| 定型約款 | 定型取引で契約の内容とするために準備された条項の総体 |
| 定型約款準備者 | 定型約款を準備した者 |
誰が申し込んでも同じ規約になるオンライン英会話は、この型に当てはめて読める。
一方で、個別に交渉して中身を決める契約書は、同じ扱いにならないことがある。
定型約款で合意しなかったとみなされる条項
第548条の2第2項は、合意しなかったとみなす条項の条件を置いている。
相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、信義則の基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものが対象だ。
判断には、その定型取引の態様と実情、取引上の社会通念が使われる。
一方的に害する条項は合意外
- 利用者の権利を狭める条項
- 利用者の義務を重くする条項
- そのうえで、利用者の利益を一方的に害する条項
規約に書いてあるから従うしかない、と決めつけなくてよい。
消費者と事業者の契約なら、消費者契約法の無効の条文もあわせて確かめることになる。
消費者契約法から見る規約の読み方は利用規約の読み方と確認手順にまとめている。↓

定型約款の内容を見せてもらう権利
規約がどこにあるか分からないときは、見せてもらう道がある。
第548条の3第1項は、定型取引合意の前、又は合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合、遅滞なく相当な方法で定型約款の内容を示さなければならないとしている。
すでに書面を渡したり、電磁的記録を提供したりしていれば、この限りでないとされている。
合意前に見せないと合意扱いにならない
第548条の3第2項は、合意の前に表示の請求を拒んだときは、前条の規定は適用しないとしている。
申し込む前に規約の表示を求めたのに断られたら、その経緯を記録しておく。
一時的な通信障害など正当な事由がある場合は、この扱いにならない。
定型約款の変更が認められる2つの場合
オンライン英会話では、規約の改定の知らせが届くことがある。
第548条の4第1項は、2つの場合に、個別に合意をしなくても規約の変更で契約の内容を変えられるとしている。
| 場合 | 条文の定め(要旨) |
|---|---|
| 第1号 | 変更が相手方の一般の利益に適合するとき |
| 第2号 | 契約をした目的に反せず、変更の必要性・内容の相当性・変更がある旨の定めの有無などに照らして合理的なとき |
利用者に有利な変更は、第1号に当たりやすい。
料金の値上げのように利用者に不利な変更は、第2号の合理性で判断されることになる。
変更の通知が来たら、どちらの号に当たる変更なのかを考えて読む。
定型約款を変えるときの周知のルール
変更には、事業者がやらなければならない手順がある。
第548条の4第2項は、変更をするときに変更が始まる時期を定め、変更する旨と変更後の内容とその時期を周知しなければならないとしている。
周知の方法は、インターネットの利用その他の適切な方法とされている。
周知が遅れると変更は成り立たない
第2号による変更は、定めた時期が来るまでに周知をしなければ、変更として成り立たないとされている。
- 変更する旨
- 変更後の定型約款の内容
- 変更が始まる時期
お知らせのメールは、変更が始まる日を確かめてから保存しておく。
変更後の規約に納得できないなら、変更が始まる前に解約を考える時間がある。
定型約款の変更と料金の値上げ
オンライン英会話の規約の変更で、いちばん気になるのは料金だ。
値上げが規約の変更で行われるときは、第548条の4の合理性と周知の手順が問われる。
契約の更新のときに新しい料金になる形なら、更新前に解約するかを選べる。
値上げの通知を受けたら、変更が始まる日と自分の更新日を並べて見る。
値上げの通知を受けたときの道は受講中に料金が上がったらにまとめている。↓

定型約款を申し込む前に読む順番
全部を読み切るのは大変なので、先に読む場所を決める。
| 順番 | 読む条項 | 見る点 |
|---|---|---|
| 1 | 料金と支払い | いつ・いくら・どの方法で引き落とされるか |
| 2 | 解約と返金 | いつまでに・どの方法で解約できるか |
| 3 | 自動更新 | 更新日と止め方 |
| 4 | 規約の変更 | 変更の知らせ方と始まる時期 |
| 5 | 免責 | レッスンが受けられないときの扱い |
この5つを読んでから同意のチェックを入れれば、大きな見落としは減る。
料金は、表示が税込か税抜かもあわせて確かめておく。
自動更新の止め方は自動更新の仕組みにまとめている。↓

定型約款についてのよくある質問
Q. 規約を読まずに同意したら全部に縛られますか
- A. 個別の条項にも合意したとみなされるが、一方的に利益を害する条項は合意しなかったものとみなされる。
Q. 規約の中身を見せてもらえますか
- A. 合意の前や合意の後相当の期間内に請求すれば、遅滞なく相当な方法で示す義務がある。
Q. 勝手に規約を変えられますか
- A. 利用者の一般の利益に適合するときか、合理的なときに限って変更が認められる。
Q. 変更の知らせが無かったらどうなりますか
- A. 合理性による変更は、定めた時期までに周知しなければ変更として成り立たない。
Q. 消費者契約法とはどう関係しますか
- A. 消費者と事業者の契約なら、消費者契約法の無効の条文もあわせて当てはめて読む。
まとめ|定型約款は合意と変更の2つの線で読む
覚えておくことは3つにまとまる。
- 条件がそろえば個別の条項にも合意したとみなされる
- 一方的に利益を害する条項は合意しなかったものとみなされる
- 変更には合理性と周知の手順が要る
規約は、料金・解約・更新・変更・免責の順に読めば要点を押さえられる。
同意の前に5つの条項を読む
変更の知らせが届いたら、変更が始まる日を先に確かめる。
規約の写しと変更の知らせを保存しておくことが、あとで自分を守る材料になる。
\契約の前に読む物差し/
英語サービス55社を見て作った10の基準
規約の条件も採点項目に入れる
参考文献
- 民法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 消費者契約法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 通信販売|特定商取引法ガイド(消費者庁)
あわせて読みたい
適格消費者団体への申し出は適格消費者団体の使い方にまとめている。↓

解約と返金の条項の読み方は英会話スクールの解約と返金にまとめている。↓



コメント